心不全にNIPPVを使用する理由を知りたい
このような方に読んでもらいたい記事です。
新人看護師のよんくれです!
季節が進み、雨が多くなってきましたね。
最近は先輩からも任せてもらう仕事が出てきたのがうれしい反面、こんなことも自分はできないのかと心が曇り模様です、、(笑)
この間、心不全でNIPPV(非侵襲的陽圧換気)を使用している患者を受け持ちました。そこで「この人はなぜNIPPVをつけてるか分かる?」と先輩から聞かれました。
もちろん、「すいません。わかりません、、、」。
ということで今回は、心不全患者にNIPPVを使用する理由について紹介します。
皆さんと一緒に勉強していきましょう!
心不全とは
心不全とは、心臓の血液を送り出すポンプ機能が低下することにより、全身に血液を送れなくなることを指します。
誤解しやすいのですが、これは肺炎やガンなどのような病気の名前ではなく、単に心臓のポンプ機能が低下した状態であるということ。
そのため心不全は、病気の名前ではなく心臓が弱った状態とも言い換えられます。
補足→心不全は心臓が弱った状態を指しますが、心不全になるには何らかの病気を抱えており、それによって心臓が弱り心不全に移行するという流れです。
心不全になるとどうなる?
心不全になると、多くの人はうっ血が見られます。
(うっ血とは血液がスムーズに進まず、その場に溜まってしまうこと。車の渋滞をイメージしてもらうとわかりやすいです。)
理由として、心臓が弱ってくるということは全身に血液を送りだす左心系(左心房・左心室)もうまく働かなくなります。
すると、本来は左心房→左心室→大動脈と流れる血液が渋滞(うっ血)してしまいます。その結果、左心房に血液を送る血管(肺静脈)や組織(肺)にも渋滞が続いていきます。
次第に血管内がパンパンになるほど渋滞(うっ血)が進むと血液成分が血管外へ染み出していきます。これが肺うっ血や胸水となるのです。
下の図でイメージすると分かりやすいと思います!
症状
心不全の患者さんにはピンク色泡沫状痰、呼吸困難、浮腫、末梢冷感などが見られます。
ピンク色泡沫状痰は肺の血管がパンパンになり、血液成分が気管に染み出すことで痰と絡み、ピンク色の痰となるのです。このピンク色は血液の色というわけですね。
呼吸困難は、渋滞(うっ血)して血液成分が血管外へ漏れ出すと、胸郭に溜まっていきます。胸郭には肺が存在しており(肺がいる部屋)、胸郭に水がたまると肺は思うように膨らむことができません。(肺の部屋が水のせいで狭くなり膨らむことができる場所が少なくなるイメージ)
肺は膨らむことで酸素を取り込んでいるため、うっ血すると酸素がうまく取り込めません。その結果、全身に必要な酸素が行き渡らず、もっと呼吸して酸素を取り込もうとするのが呼吸困難です。
浮腫は、心臓のポンプ機能が低下することで全身の血液を送ることができません。すると血液が滞ってしまい、特に下肢ではむくみが顕著に現れます。(重力の影響で下肢に水が溜まりやすいため。)また、それにより体重増加も見られます。
末梢冷感は、ポンプ機能が悪くなると末梢へ血流を送ることができません。血流が悪くなると、その部分は冷たくなってしまいます。(人の手が温かいのは血液が通っている証拠。亡くなった方は冷たくなるのは血流が止まるから。)
心不全患者がNIPPVを使用する理由
さて、ここからが本題です。
まず、NIPPVとは非侵襲的陽圧呼吸器のことです。
簡単に言うと、体を傷つけることなく空気を送り続け、呼吸を助けてくれる機械のことです。
ではなぜ心不全ではNIPPVを使用するのでしょうか?
上記で心不全について理解して頂いた皆さんなら少しピンときませんか?
心不全ではうっ血により呼吸困難が生じると学んだかと思います。それをサポートするためにNIPPVを使用するのです。
しかし、NIPPVを使用する理由はそれだけではありません。
少し詳しく見てみましょう。
【呼吸面】
NIPPV(陽圧換気)を行うことで、肺は自然と膨らみます。(陽圧換気とは空気を体内に送ること)
すると、
・肺に入る空気の量が増える
・うっ血によって潰れていた肺胞も膨らませることができる(しぼんだ風船に空気を送ると膨らむイメージ)
・うっ血による圧迫で細くなった気管(空気を肺へ送る道)も広げられる
・空気が入ってくることで胸郭も広がり、呼吸筋の仕事量が軽減される。
(呼吸は胸郭を広げることで肺が広がり、空気を取り込む仕組みとなっている。胸郭を広げるためには呼吸筋を使っている。)
浅い呼吸だと一回換気量が少ないため、呼吸回数を増やして必要な酸素を取り込もうと呼吸筋を酷使する。すると体内の酸素が消費され、余計に呼吸して酸素を取り込もうと呼吸回数を増やすという悪循環が生じる。
しかし、胸郭が広がることで深呼吸ができるため、一回で多くの酸素を取り込むことができるのだ。
この結果、呼吸しやすい状態となる。
他に、呼吸が安定することで副交感神経が優位になり、心拍数や血圧も下げる効果もある。
【循環面】
NIPPを使用すると肺が膨らみ、胸腔内を圧迫することで胸腔内圧が上昇する。
すると
・胸腔内には心臓に帰ってくる静脈(大静脈)があり、内圧が上昇すると静脈も圧迫されるため心臓へ帰ってくる血液量が減少する(前負荷軽減)。
・胸腔内圧が上昇すると心臓も圧迫されるため、自分で押し出す力が減る。
・また、心臓から出ていく動脈(大動脈)も圧迫されているため押し出せる血液量が減少する(後負荷軽減)。
この結果、心臓への負荷を少なくすることができるのだ。
まとめ
NIPPVは、心臓にとって負担を減らしながら呼吸状態も改善してくれるということがわかってもらえたでしょうか。
これらの理由から心不全患者にはNIPPVを使用します。
しかし、何事にもデメリットはあります。
【注意点】
NPPVを使用すると胸腔内圧上昇すると伝えました。
すると、血管や心臓圧迫することになります。これは心臓から血液が出しにくいということです。よって全身への血流低下が生じる可能性があり、低血圧に注意が必要です。
また、大静脈が圧迫されることで全身の血液が返ってきにくくなる。これは全身に血液がうっ血している状態であり、浮腫に注意が必要です。
これらのことから
NIPPVと利尿剤を併用することで、心臓から帰ってくる血液量を減らし(前負荷)、心臓の負担を軽減することが多いです。
もし心不全の患者さんがいた場合は、このことを思い出して観察してくれたらうれしいです!
さいごに
これは私がわからなかったことを、先輩に聞いたり教科書を読んでまとめたものです。もし間違いや別の理由があるなどご意見がありましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです!
まだまだ分からないことばかりですが、皆さんと一緒に勉強して成長していきたいと思います。
これからもよろしくお願いします。
よんくれ
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