せん妄予防に使用する薬剤について知りたい
病棟でよく使用する眠剤を知りたい
この記事を読むと、このような悩みを解消します。(2022/11/06更新しました)
どうも、2年目ナースのよんくれです!
先日、睡眠に関するアセスメントについて記事を出しました。
夜間はしっかり睡眠を取らないと、せん妄の発症リスクも増加してしまいます。
そのため、せん妄対策は看護師にとって必須です!
とくに臨床では、薬剤を使用してせん妄を予防します。
そこで今回は、せん妄予防に使用される薬剤について解説しようと思います!
この記事を読むと、せん妄予防(眠剤)として使用している薬剤について学ぶことができます。
せん妄とは
「身体的な原因によって急性に出現する意識、注意、知覚の障害であり、その症状には変動性がある」
せん妄にはきっちりとした定義はありません。
また、なぜ発症するのかについてもまだ原因が明らかでないことが多いです。
しかし、ICU在室患者の70%〜80%で発症するという研究結果も見られます。
(ICUの患者のほとんどがせん妄というわけではないですよ笑)
せん妄のリスク因子は以下の通りです。
- 70歳以上
- 認知症、脳血管障害
- せん妄の既往
- アルコール多飲など
せん妄になると予後が悪くなると言われており、1日せん妄症状が伸びると10%も予後が悪くなるという研究もありました。
また、せん妄になってしまうとそれを治す薬は今のところありません。
それらのことから、なるべくせん妄にならないように予防を行うことが大切です。
せん妄予防には薬物療法と非薬物療法を用いますが、今回は薬剤について解説していきます。
せん妄予防に使用される薬剤
ロゼレム(ラメルテオン)
メラトニン受容体作動薬
最高濃度到達時間 0.75時間 半減期 0.94時間
特徴
- 睡眠リズムを改善
- 副作用が少なく、高齢者に使いやすい
- 効くまでに1〜2週間(血中濃度は1~2時間)かかる
私のイメージ
ロゼレムは体内リズムを整えるお薬なので、眠剤という認識はあまりしていません。
また、1回で入眠効果があるのではなく、継続して内服することで体内リズムが整い、自然な入眠が取れるようになります。
そのため眠剤は飲まないという患者でも、ロゼレムは内服してもらうようにはしています!
ロゼレムの名前の由来は、バラ色の眠りです笑
ローズがバラで、レムが睡眠です!
ベルソムラ(スポレキサント)
オレキシン受容体拮抗薬
最高濃度到達時間 1.5時間 半減期 10時間
特徴
- 入眠障害、中途覚醒の患者に使用
- 覚醒(オレキシン)受容体への結合をブロックし、覚醒を抑制する
- 満腹時は血中濃度が半減するため避ける方が良い
- 副作用は傾眠、頭痛、疲労感
私のイメージ
ベルソムラはすぐに効くわけではないので、寝れないから飲むというより眠りやすくするために飲んでもらう感じで使用しています。(比較的眠剤の中では即効性はある方です。)
また、半減期も10時間と長いのであまり遅い時間に飲むと翌日に傾眠になってしまうことがあるので注意しています。
ベルソムラには、レム睡眠時間も増加するため悪夢をみるという方もいるので悪夢を見たら量を減らすなど行います。
ベルソムラの名前の由来は、美しい眠りです!
ベルが美しい(美女と野獣のベルと同じ)でソムラが眠りだそう(笑)
トラゾドン(レスリン)
四環系抗うつ薬、セロトニン需要拮抗薬
最高濃度到達時間 3〜4時間 半減期 6〜7時間
排泄経路:肝臓
特徴
- 鎮静作用が強く、深睡眠を増やすことで睡眠の質を改善
- 作用までに時間がかかるため、早めに飲む
- QT延長(不正脈)、悪夢のリスクあり
私のイメージ
夜間、定期眠剤で眠れないという方に対して追加で使うことが多いです。
鎮静作用があるため、追加で飲むとまあまあの頻度で入眠してくれることが多いです。
高齢者など、腎機能が弱い方には多くても75mg以内には抑えるように調節しています!
困った時は、トラゾドンです笑
(QT延長は重大な不整脈になるのでもとの波形や患者に適応しているかなどは必ず確認しています)
ルーラン(ペロスピロン)
非定型抗精神薬
最高濃度到達時間 0.5〜4時間 半減期 1〜3時間
排泄経路:肝臓
特徴
- 半減期が短く高齢者にも使用しやすい
- リスペリドン、ハロペリドールににているが、鎮静効果は弱い
私のイメージ
ソワソワしていたり、せん妄になりそうな患者にも投与しています。
せん妄症状は夕方に発症しやすいため、早めの16時に飲ませるなどを行い、せん妄予防をしています!
半減期が短い(3時間)ので、夕、眠前など複数回飲むことが多いです。
腎機能低下の患者は過鎮静になりやすいため注意です!
ルーランの名前の由来は、あやしなだめる、寝かしつけるという意味があるそうです笑
クエチアピン
非定型抗精神薬
最高濃度到達時間 1時間 半減期 3時間
排泄機能:肝臓
特徴
- 糖尿病患者には禁忌
- 半減期が短く、錐体外路症状を起こしにくいため高齢者にも使いやすい
- 強めの鎮静、催眠効果
私のイメージ
クエチアピンを使えば、だいたいのせん妄患者もコロっと寝てしまうぐらい強い薬だと思っています!
そのため、クエチアピンを行くのはよっぽどの時や、せん妄リスクが高い人に使用することが多いです。
糖尿病患者には禁忌であり、最近の高齢者は糖尿病を持っていることも多いので上記薬剤よりは使われる頻度が少ないイメージがあります。
興奮を伴うせん妄に使用する薬
ハロペリドール(セレネース、リントン)
定型抗精神薬
最高濃度到達時間 静脈注射だと数分 半減期 12~36時間(時間は諸説ありますが、半減期は長めです)
特徴
- 錐体外路症状の発現率が高い
- 注意障害、幻覚、妄想、焦燥感の改善
- 鎮静、催眠作用は弱い
- 半減期が長く、翌日に過鎮静を招きやすい
- 重症心不全患者には禁忌(心筋に対する障害や血圧低下がみられる)
私のイメージ
ハロペリドールは、点滴として使用します。
そのため、せん妄や不穏で内服ができない、拒否がある人に対して使用することが多い印象です。
私の病棟の看護師はハロペリドールはルーラン4㎎を5錠分(20㎎)程度のこうかがあると言ってました(笑)
ハロペリドールもQT延長のリスクがあります。
リスペリドン
非定型抗精神薬
最高濃度到達時間 1時間 半減期 4~15時間
特徴
- ハロペリドールと似た効果
- 効果が長時間にわたる
- 腎機能が悪いと過鎮静が生じる可能性あり
私のイメージ
夜間、突然せん妄や不穏になった患者に対してよく使用します。
効果はハロペリドールとリスぺリドールで似ているため、内服ができそうならリスペリドン、内服ができなさそうならハロペリドールを選択しています!
まとめ
せん妄を予防するための薬は、ロゼレム、ベルソムラ、トラゾドン、ルーラン、クエチアピン。
興奮を伴うせん妄に対する薬は、ハロペリドール、リスペリドン。
それぞれの薬剤の特徴を知ったうえで、せん妄予防を行いましょう!
また、せん妄は出来上がってしまう(暴れたり暴言を吐くなど)と治す薬はありません。
鎮静で寝かせることはできても、一時しのぎでしかないのです。
そのため、せん妄が完成する前に予防が大切です。
内服のタイミングはとても重要なので、それぞれの特徴を知ったうえでせん妄コントロールを行いましょう!
あとがき
私は看護師としての薬剤の知識を勉強しています。
そのため、もっと詳しく知りたいのであれば薬剤師さんなど、専門の方に聞いてみてくださいね!
私のイメージは、ほんとに私のイメージなのでそんな感じなんだという風に思っていただけると嬉しいです(笑)
それ以外はしっかり文献で調べたので参考にしてください!
いまだにせん妄予防のための内服コントロールは難しいです。
これからも勉強を行い皆さんにも発信していきますね!
睡眠のアセスメントポイントについても記事にしているのでよかったら読んでみてください!
【それ、ほんとに不眠?】睡眠をアセスメントするポイントをまとめました! | よんくれblog (yonkure-ns.com)
ありがとうございました。
よんくれ
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