どうも、看護師のよんくれです!
循環器領域では、排便コントロールが非常に重要です。
なぜなら、努責(いきんでしまうこと)により血圧が上がり、心臓に負担がかかってしまうから。
排便契機に急変した!っという事例は多くありますね。
そのため、看護師は便を出しやすくするため下剤を調整し、やわらかめから下痢気味で患者の排便をコントロールします!(心機能の悪い患者に限ります。)
そのために下剤を使用します。
下剤は色んな種類があり、それぞれ効果が違います。
そこで今回は、病棟でよく使用する下剤の種類と効果について解説しようと思います!
この記事では、下剤の種類と効果について知ることができます。
下剤について
下剤は、便がすっきり出ないときや出にくくなっている時に使用します。
便が出ないと、お腹がはって苦しくなる、食欲がなくなる、横隔膜が押し上げられて息がしにくくなる、など様々な問題がおこります。
そこで、看護師は患者と相談しながら下剤を使用します!
種類について
下剤は大きく以下の種類に分類できます。
- 浸透圧性下剤
- 刺激性下剤
- 上皮機能変容薬
- 胆汁酸トランスポーター阻害薬
- 漢方薬
- その他
書籍によっても分け方が少し違いますが、このような違いがあることを知ってもらえると嬉しいです!
ではそれぞれについて簡単に解説します。
浸透圧性下剤について
浸透圧性下剤は3つに分けることができます。
- 塩類下剤
- 糖類下剤
- その他
塩類下剤
代表薬剤:酸化マグネシウム(マグミット)
作用機序:マグネシウムが腸管から水分を集めることで、便が柔らかくなります。量が増えることで大腸を刺激し、スムーズな排便を促します。
効果発現時間:10~24時間
注意点:腎障害(高マグネシウム血症になるリスクがあるため)、高マグネシウム血症、心機能障害(徐脈となり症状悪化のリスク)
酸化マグネシウムは飲み続けても、依存性の心配はないとされています!
糖類下剤
代表薬剤:ラクツロース
作用機序:浸透圧により腸内への水の移動を促進します。また、腸内細菌によって分解されることで乳酸など有機酸を産生することで腸蠕動を促進する。また、有機酸の影響でphが下がり、ビフィズス菌や乳酸菌が増加し腸内環境が改善します。
効果発現時間:24~48時間
注意点:ガラクトース血症や糖尿病患者 (ガラクトース、乳糖を含んでいるため)
ラクツロースは、血中のアンモニアを減らす働きがあります。
乳酸菌を増やすことで腸内を酸性にすることで、アンモニア生産菌を減らすことができます。
さらに便通によりアンモニアの排泄がよくなることから、肝障害による高アンモニア血症の治療に用いられます。
その他
代表薬剤:ポリエチレングリコール(モビコール)
作用機序:浸透圧により腸内へ水が移動し便が柔らかくなります。また水分により便が大きくなることで腸が刺激され、腸蠕動がよくなります。
効果発現時間:2日
注意点:モビコールは水に溶かして内服するが、この時の水分はほとんど体に吸収されず便となります。そのため水分補給は適宜必要です。
刺激性下剤について
刺激性下剤は2つに分けることができます。
- 大腸刺激性下剤
- 直腸刺激性下剤
これらについて、具体的に見ていきます。
大腸刺激性下剤
代表薬剤:センノシド(プルゼニド)、ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)
作用機序:大腸を刺激し、腸蠕動を活発にして排便を促します。
効果発現時間:7~12時間
注意点:作用が強いが、長く飲み続けると効き目が悪くなる。妊婦さんには原則使用しない。(子宮収縮のリスクがある)
単会投与でも効果があり、排便を起こす作用発現時間は比較的短いです。
腸を刺激するため、腹痛が起こりやすく観察は必要です。
直腸刺激性下剤
代表薬剤:新レシカルボン坐薬、グリセリン浣腸
作用機序:微細な炭酸ガスが徐々に発生し、直腸を刺激するとともに直腸を拡大して拡張反射により排便刺激を与える。(坐薬)
腸内の水分を吸収することで便を柔らかくし、刺激作用によって腸蠕動を亢進させる。(浣腸)
効果発現時間:5~20分(坐薬)、10分(浣腸)
注意点:自然な排便が難しくなるため、連用は避けましょう。また、挿入時に粘膜損傷のリスクがあります。
グリセリン浣腸は左側臥位で実施しましょう。
坐薬や浣腸による強制排便によって、迷走神経反射による心拍数低下や血圧低下がみられる可能性があるので、バイタルの確認は必要です。
これらは即効性があるのが特徴です!
上皮機能変容薬
代表薬剤:ルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)
作用機序:小腸の上皮頂端膜に作用することで、小腸内の水分を増加し、便を柔らかくして便の輸送能力を高める。(アミティーザ)
腸管上皮細胞に作用し、水分分泌を促進する。(リンゼス)
作用時間:24時間以内
注意点:アミティーザは即効性はありませんが、定期的に内服することで自然な排便を促します。
リンゼスは食後に内服すると下痢が起こしやすいので、必ず食前に内服してください。
リンゼスは、「便秘型過敏性腸症候群」という病名のみに保険適応として使用できます。
理由として、リンゼスは内臓痛覚神経線維にも作用し、痛みや不快感を改善するためです。ここがリンゼスの特徴です!
胆汁酸トランスポーター阻害薬
代表薬剤:エロビキシバット(グーフィス)
作用機序:胆汁酸の再吸収を抑えることで、大腸内に流入する胆汁酸を増加させます。胆汁酸によって大腸内に水分を分泌させ、さらに腸蠕動を促進させることで排便を促します。
効果発現時間:5時間
注意点:食事の刺激により胆汁酸が十二指腸に放出される前に内服していることが望ましいため、食前に内服しましょう。
漢方薬
代表薬剤:大建中湯
作用機序:神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌促進により胃や腸の働きを活発にする。また小腸から分泌されるモチリンの分泌を促進することで胃腸の蠕動運動を活発にします。
効果発現時間:数日~
注意点:肝機能障害のある方
大建中湯は、消化管手術後のイレウスの治療や予防にも使用されます。
その他
代表薬剤:ナルデメジン(スインプロイク)
作用機序:消化管にあるオピオイド受容体に結合してオピオイド鎮痛薬に拮抗することで、抗便秘作用を促します。
作用時間:4~5時間
注意点:下剤ではないため、下痢になっても休薬しないことが大切。(休薬すると排便が安定しない)
導入時に一時的に排便が頻回になる可能性があります。
オピオイド鎮痛薬を使用すると、腸管の動きを鈍くし、便秘を引き起こしてしまいます。スインプロイクは腸管のオピオイド受容体のみをブロックするため、オピオイド鎮痛薬の効果に影響せずに便秘を予防できます。
まとめ
下剤は種類によって作用する方法が違います。
患者によって適切な下剤を選択できるように私も日々勉強しています!
今回は分かりやすくまとめたものなので、この記事を導入にしてより詳しく調べてみてください。
排便について、他にも記事を書いているのでよかったら見てください。
ありがとうございました!
よんくれ
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