モニターや数値の異常を観察しているが、点滴流量の変更を忘れてしまう、、、
ICUで働く新人看護師さんや、経験が浅い看護師さんがよくしがちな失敗。
それは「点滴流量変更を忘れてしまうこと」
あなたも忘れてヒヤッとした経験はありませんか?
ICUでは患者さんの状態が常に変動し、細かいモニタリングとその結果にもとづく処置が求められます。
しかし、忙しさや緊張から重要な処置を忘れてしまうことも、、、
特に「血圧、脈拍、尿量、血糖値」は確認した後、指示通りに点滴流量を変更し忘れることが多いです。
この点滴は、命に関わることもあるので流量変更は非常に大切です!
大切なのはわかってるけど、忘れてしまうんだよなぁ
分かります、私自身がそうでした(笑)
自分で気を付けていても限界がある。
そこで、私は自分以外の周りの何かを工夫することで、ミスを減らす方法を考えました。
それは
メモやタイマーを使用したり、他の人を頼ること
私はこの方法で、点滴流量の変更忘れがかなり少なくなりました!
そこで、この記事では点滴流量の変更忘れがなぜ起こりやすいのか、予防するための具体的方法を解説します!
【この記事から分かること】
・点滴流量の変更を忘れてしまう原因
・失敗を予防するための対策と具体的な実践方法
この記事を読むことで、点滴流量の変更忘れについて意識できます。
結果、明日からはこの失敗も少なくなるでしょう!
失敗事例:点滴流量の変更を忘れた場面
では、実際にどんな場面で点滴の流量変更を忘れてしまうのでしょうか。
実際に私がしてしまった場面を2例、紹介します、、、
事例1
ある看護師Aさん。
糖尿病の患者さんを受け持っていました。
血糖値が高かったため、持続でインスリンの投与が開始されました。
医師より、血糖値が180以上であれば、インスリン投与量を増やして2時間後に再測定、との指示。
2時間後の血糖測定では、血糖値200以上と指示を逸脱していました。
しかし、他のモニタリング(全身観察やモニター確認)に集中するあまり、インスリンの流量変更を忘れてしまいました。
さらに2時間後、血糖再測定の際に血糖値が250を超えており、患者さんの状態が悪化してしまった。
事例2
ある看護師Bさん。
心不全の患者さんを受け持っていました。
洞調律(NSR)から発作性心房細動(Paf)により、脈拍が80台→150台へ上昇。
脈拍を抑えるため、オノアクト(脈拍をゆっくりにする薬)を開始。
医師の指示では、脈拍が120回以下にならなければ、オノアクトを増量するようにとの指示。
オノアクト開始後、徐々に脈拍は下がり130台になったので私は少し安心していました。
その脈拍が下がった安心感から、医師の指示をうっかり忘れてしまっていました。
結果、採血をおこなうとデータが悪くなり、オノアクトが増量されていなかったことに気づいた。
この失敗が問題となる理由
では、なぜ点滴の流量変更を忘れてはダメなのでしょうか。
それは、患者の容態が急変したり、治療が遅れてしまう可能性があるから。
ICUでは、一つの処置の遅れが命に関わることもあるため、点滴流量については非常に大切なのです!
失敗の原因:なぜ点滴の流量変更を忘れてしまうのか
点滴の流量変更を忘れてしまう原因は、大きくわけて4つあると思います。(私の経験談です)
1 忙しさや焦り
2 優先順位が低い
3 点滴の投与している目的がわからない
4 新しい環境への適応不足
これらを一つずつ見ていきましょう。
1 忙しさや焦り
ICUでは、次々と多くの処置を指示されたり、確認すべき項目があります。
その忙しさから他の項目に気を取られ、点滴流量の変更を後回しにしてしまったり、忘れやすいです。
2 優先順位が低い
バイタルサインの測定結果(血圧、脈拍、血糖値、尿量など)を確認することに集中するあまり、点滴の流量変更が頭から抜けてしまいます。
3 点滴の投与している目的がわからない
点滴はたくさんの種類があります。
新人さんやICU経験が浅い方は、医師の指示でとりあえず点滴を作って投与した後、どんな薬か調べることも多いのではないでしょうか。
しかし、忙しくて点滴の効果を調べることができないことも多いです。
点滴による効果を理解できていないため、その点滴の効果を評価する指標がわかりません。
結果、バイタルサインを測定するだけで、点滴の流量変更をしないといけないと結びつかないのです。
4 新しい環境への適応不足
新人さんやICU経験が浅い方は、ICUのような緊張感のある環境で、すべての処置を完璧に覚えるのは難しいです。
特に忙しくなると、普段出来ることができなくなったり、忘れてしまったりします。
失敗を防ぐためのポイント
まずは、誰でも忘れてしまうことがあるということは自覚しておきましょう!
自分で覚えようと意識するだけでは抜けてしまうので、他の人や物を使用して忘れにくくすることも大切です。
失敗を防ぐポイントは大きく2つあります。
1 チェックリストやメモ、タイマーを活用する
2 先輩や他の人に協力してもらう
チェックリストやメモを活用することで、文字として残るので見返すと点滴の流量変更を忘れることが少なくなります。
タイマーを使用すると、音で知らせてくれるため流量変更の忘れを予防できます。
先輩や他の人に協力してもらうとは、バイタル測定後の指示のダブルチェックの依頼やわからない点滴を教えてもらうことで、点滴の目的を自分で理解します。
具体的な実践方法
さいごに、私が実際に実践した方法を4つ紹介します。
- チェックリストを作成する
- 〇時間毎の測定指示であれば、慣れるまでタイマーを使用する
- モニタリングを記録後、指示を毎回確認する
- 先輩や他の人と患者疾患について確認し、病態や点滴の目的を理解する
これらを解説します!
チェックリストを作成する
受け持ちを開始する際に、その患者の確認すべき項目をチェックリストに書き出しましょう。
私の部署では、チェックリストがベッドサイドパソコンに置いてあります。
そこに、朝指示を確認するときに必要な指示を書き込んでいます。
例)BP120~140 NAD1ml/hずつ増減 OFF可
こんな感じで、脈拍や尿量なども書いてます!
バイタルの記録の際は、チェックリストも確認することで、指示の漏れを防ぐことができます。
部署にチェックリストがない場合は、自分でメモ帳に作成してもいいですね!
※指示が勤務中に変更となる場合があるので、注意してくださいね!
〇時間毎の測定指示であれば、慣れるまでタイマーを使用する
これは、血糖値や尿量の指示など、短い時間の間隔で確認すべき指示で活用しやすい方法です。
血糖値や尿量などは、1~2時間ごとの値で点滴流量を変更することが多いです。
そのため、一度値を確認してから2時間後にタイマーをセットします。
再度タイマーが鳴ったら値を確認し、点滴の流量を確認するようにしましょう!
これはアラームが鳴ることで、点滴の流量を確認するという意識付けができるのでお勧めです。
※これは〇時間ごとに確認すべき指示でしか使用できないので注意してください!
モニタリングを記録後、指示を毎回確認する
患者のモニタリング結果を記録するときに、一緒に指示内容を確認しましょう!
これは少し手間がかかりますが、慣れるまでは有効な方法です。
指示を毎回確認すると、自然と点滴流量の変更指示が頭に入ってくるようになります。
先輩方が流量変更を忘れないのは、自然と頭に入っているからですね!
また、指示を毎回確認することで、突然変更となった指示も見落とすことがなくなります。
先輩や他の人と患者疾患について確認し、病態や点滴の目的を理解する
これは少し難易度が高いので、難しい方もいるかもしれません。
しかし、実施できると自分の知識も増えるのでお勧めします!
私の部署はPNS制度を活用しています。
(看護師2人がペアを組んで患者を担当すること)
そのため、朝に患者の情報を2人で調整する時間があります。
そこで、自分が分からないところを先輩に確認することができます。
私はそのタイミングで先輩に確認するようにしていました!(もちろんできるだけ調べてから)
これはPNS制度だと可能な方法ですが、ペアで動かない場合でもリーダーに相談する、声の書けやすい先輩に質問するなどでもいいかもしれませんね!
まとめ
ICUのような緊張感のある環境では、ミスをすることだってあるので、それをできるだけ予防できる仕組みを作りましょう!
私のおすすめは、チェックリストの作成とタイマーの使用です!
チェックリスト自体は今でも活用しているので、あなたも試してみてくださいね!
タイマーは、音がうるさいので早く止めようとするので、意識付けにはもってこいです(笑)
他にも失敗を乗り越えた方法や、効果的な対策があればコメントで教えてください。
あなたのお役に少しでも立てると嬉しいです!
他にも、看護師として悩みや疑問などの解決法を記事にしているので、よかったら読んでみてください!
ありがとうございました!
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