【エンゼルケアについて】急変時から死亡退院までの一連の流れをまとめました!

エンゼルケアの方法や急変時から死亡退院までの流れを知りたい

この記事はこのような方に読んでもらいたい記事です。

どうもよんくれです!

看護師をしていると、患者さんの最期の瞬間に立ち会うことがあります。

仕事であれ、なかなか辛いことです、、、

人生の最後の瞬間だからこそ、心を込めたケアをしたいですよね。

そこで今回は、エンゼルケアの方法や急変時から死亡退院までの流れを紹介します。

この記事からエンゼルケアのポイントや急変時から死亡退院までの流れを知ることができます。

f:id:yonkure-m:20220202220044j:plain
目次

看取りや急変リスクがある場合に確認しておくべきこと      

まず、見取りで山場が近い場合やバイタルサインの変動が激しく、急変リスクが高い場合は以下の項目を確認しておきましょう。

  • 家族の連絡先キーパーソンは誰か、家の場所、来院方法、来院までにかかる時間、死亡診断は誰が立ち会うのか
  • 院内で家族が待機する場合は控室が空いているか
  • 患者の容態がどうなったら家族へ連絡するか
  • 夜間は亡くなった際に主治医に連絡するか、当直医でいいか

家族は基本的に最後を見守りたいという方が多いです。

そのため、家族や自宅の情報は事前に確認しておきましょう。

私は連絡先を電話の横に貼っておくことで、すぐに家族へ電話をできる工夫をしています。

また、患者状態によってどのような症状が出たときには家族を呼んでおくべきかまで話し合えるといいですね。

家族が長時間院内にいる場合は控室なども案内してあげましょう。

急変時ではなく見取りの場合は、バイタルが悪くなってきている時点で事前に、見取り日が近いかもしれないこと、すぐ電話に出れるよう携帯は近くに置き、着信に気づくようにしておいてもらうよう家族に伝えておくといいですね。

急変が起きたとき

今回は急変時の患者への対応ではなく、家族や周囲の対応について記載します。

まずは家族へ、患者の状態が変化したことを伝えましょう。

連絡するときは誰が、何で、何時に来るかを確認します。

この時に、「急変したので急いできてください」というニュアンスで伝えてしまうと、家族様は焦ってしまい、事故を起こしてしまう可能性が高まります。

患者の容態が変化したので来院してほしいこと、焦らず安全に来院してほしいことを電話で伝えましょう!

その後、夜間であれば院内の受付に連絡を入れておくことで、スムーズに院内へ案内できます。

医師へも誰が、何で、何時に到着する予定かについて情報提供を行いましょう。

万が一、家族が到着する前に亡くなってしまった場合も、死亡診断をするまでは基本的に治療は継続します。(モニター、呼吸器、点滴などを外しておかない。)

亡くなったが家族の到着が遅れる、時間があるなどの場合は病室内の物品整理を始めておきましょう。

ただし、明らかに荷物を空の状態にまで整理してしまうと早く病室から出したいと家族が思うかもしれないので、きれいに整理することを意識してください

死亡診断

次は急変などが終わり、亡くなった後の流れから説明します。

亡くなった後は、家族が来てから立会いの下死亡診断を行います。(例外はあります。)

死亡診断には、①心肺停止②呼吸停止③対光反射消失(脳機能停止)を確認します。

スムーズに診断できるよう、ペンライト、聴診器は準備しておきます。

ここで呼吸器などを初めて止めることが多いです。

この際、死亡時刻は忘れず確認しておきましょう。

他に、死亡診断書の準備もしておきます。

https://atago-cg.jp/news/post_159/

死亡診断書は右下に登録番号が記載されてあり、病棟で使用する際は順番に使用する必要があります。(上記写真には登録番号の記載はありません。)

上記写真の右側の用紙には医師が死亡時間、病名、氏名、生年月日などを記載します。

役所に届けるため正式な漢字の名前や生年月日を書かないといけません。

カルテ内が間違えている可能性もあるため、必ず家族に間違えていないか確認をとりましょう。

左側は、後に家族が記載して役所に提出して頂く分となるため、院内では記載しなくても大丈夫です。

万が一、医師が記載内容を間違えてしまっても死亡診断書は破棄してはいけません。

正式な用紙であり、悪用をすることで犯罪となるので枚数が管理されているからです。

この右側の用紙の裏には、複写用紙がついています。

私の病院では、家族へ記載内容に間違いがないことを確認してから、その複写用紙はカルテに取り込むためスキャンへ回します。

死亡診断書に間違いがなければ、封筒に入れてご遺体と離れないよう説明をしてから家族へ渡しましょう。

+プラスワン情報+

ご遺体を葬儀屋さんが搬送するとき、診断書がないとそれは事件となり警察沙汰です。

絶対に診断書とご遺体はセットで移動しないといけません。

家族の時間の確保

死亡診断を実施した後、家族の時間を確保します。

一緒に過ごされた思い出や、最後の家族の時間を過ごしてもらうことも家族看護です。

カーテンなどで仕切って家族だけの空間を作ります。

この際に、看護師も入るのであれば家族に対して、ねぎらいの言葉や患者の様子などを話してもいいかもしれません。

(家族に話しかける言葉は難しく、自分の感じたことを素直に伝えることがいいと私は考えています。)

長すぎると死後硬直が始まるため、落ち着いたら家族に以下の内容を確認します。

  • 着てもらいたい服はあるか
  • 一緒に体をきれいに拭くか
  • 葬儀屋は決まっているか
  • 何時に葬儀屋は到着するか

現在着ている服が本人のものであればそのままでいいが、レンタル洋服の場合は家族に衣類をもってきて頂く必要があります。

私の病院では、コンビニに浴衣を販売しているため購入していただくこともあります。

衣類を準備していただき、一度家族には病室を退室してもらいます。

家族が病室の外で待機してもらう間に、看護師で清拭を行う。

その間に家族には葬儀屋に連絡をとってもらい、何時に到着するかを確認してもらいます。

葬儀屋を呼んでもらうとき、到着時間は1時間~1時間30分後程度で呼んでもらうとバタバタしなくて済みます。

また、葬儀屋に連絡した後は必ず、看護師にもその時間をもう一度伝えてもらうようお願いします。

動揺していると葬儀屋に伝える時間を間違えたりしてしまい、こちらの段取りが間に合わなくなることを防ぐためです。

時間を確認したら、院内の受付担当に連絡しておくことでスムーズに葬儀屋を案内してくれます。

もし、家族が一緒に清拭を行いたいとの申し出があっても、先に看護師で体をきれいな状態にしてから、その後で家族に顔や手などを拭いてもらいましょう。

褥瘡やデバイスが入った状態(抜いた後)を一般の方が見るとショッキングなため、家族さんにはきれいな状態でお会いしてもらうのが一番です。

そのため家族さんには外で待っていてもらい、看護師で先に清拭を行います。

患者の身体を整える

清拭の前に体についたデバイス類を取り除きます。

この時、皮膚を傷つけないよう皮膚保護剤などを使用しテープやラインを除去します。

気切をしている人はカニュラも取り除きますが、喉に穴が空いてしまいます。

医師がナート(傷口を縫って塞いでくれる)してくれる場合は、針と縫合用の糸、ハサミを準備しましょう。

縫合しない場合は、テープやガーゼで覆い家族には見えないよう工夫を行います。

点滴類を抜去する際、死亡することで凝固系が機能しなくなり止血しづらくなります。

そのため、止血はしっかり行いましょう。

患者によって、あごの筋肉が緩むことで口が開いてしまう方がいます。

しかし、硬直により口が閉じなくなってしまうため、タオルを用いてあごを引く形を取ったりと口を閉める工夫は必要です。

https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%82%A2

入れ歯を使用している人は、硬直が始まると入らなくなってしまうため早めに入れておきましょう。

ネームバンドは、家族が来院されており本人確認ができる場合、この時点で切っても構いません。

身寄りのいない人は、ネームバンドが本人の証明となるためネームバンドを切ってはいけません。

また、不要な物品はすべて整理し、患者の持参物は持って帰れるようにこの時点でまとめておくといいですね。

清拭

準備物品は

  • ベースン(お湯入り)
  • フェイスタオル3枚~4枚
  • エンゼルケアセット(コットンやナートを行うセット)

(私はお湯にスキナベープ(赤ちゃんの沐浴用液)を使うといい匂いになるため使用しています。)

これらを家族に見えない場所で、ワゴンに事前に準備しておくことでスムーズに清拭を行えます。

患者さんの清拭を行う前に手を合わせ、お辞儀をします。

保清時のポイントは、

  • 死後硬直が進むため、あまり時間はかけすぎない
  • まっすぐな姿勢で胸の前で手を握ってもらい、口や目は閉じるよう体位を調整
  • 髭も伸びていたら剃る
  • マウスケアも行う
  • 鼻、耳、肛門など穴から浸出液が出る場合はコットンを詰める
  • お腹を押し、体内の物を出す。吸引を行う。
  • 服は左前身頃縦結び
  • 必要時洗髪やメイク

(コットンは最近使用しない場合もあるそうです。)

これらを意識して行いましょう。

死後硬直は、下顎(1時間後~)から全身(3時間~)へと進んでいきます。

丁寧に、しかしスピーディーに行いましょう。

衣服は左前身頃、縦結びです。

https://skyvenna.blogspot.com/2021/04/blog-post_846.html

身体が整ったら、また手を合わせお辞儀を行い、そのあと家族を呼びます。

先に看護師が体をふき、「このように拭いてあげてください」と伝え、一緒に清拭をしましょう。

拭いている時は家族さんにも声掛けを忘れないようにしましょう。

家族さんの精神面のサポートも看護師の役割です。

一緒に保清を行っているときに、葬儀会社の方にお迎えを頼んでいるか、時間は何時かを再度確認をしましょう。

連絡を忘れてしまっている家族も多いので注意です。

清拭後に確認すること

患者がきれいに整ったら、葬儀会社の方が来るのを待ちます。

時間がかかるようであれば、一度退出して頂くか、個室であれば家族の時間を過ごしていただきます。

その間に、家族と以下のことを確認しておきます。

  • 死亡診断書と遺体は一緒に移動して頂く必要がある
  • 診察券の返却しているか
  • 内服薬を持ち帰るか
  • 院内で使用していた物品を持ち帰るか
  • 忘れ物など荷物はないか
  • ネームバンドは外されているか

ご遺体を搬送した後は病院へは戻ってこないため、忘れ物はないか、不安なことはないかなど最終確認を行います。

部屋移動

葬儀会社の方が来られたら、家族と見守りながらストレッチャーに移り、病室を後にします。

ストレッチャーへの移動は葬儀会社の方がメインでしていただけるところもあります。

移動の際、他の患者さんの目に触れないよう他の病室のカーテンを閉めましょう。

その後、送迎車の待機所まで一緒に同行し、お別れとなります。

ペースメーカーを埋め込んでいる方の場合は、葬儀屋の方に一言声をかけておきましょう。

記録

死亡の場合は、死亡退院となります。

そのため、記録は退院処理と同じように行いましょう。

記録法は各病院の方法に従ってください。

以上が一通りの流れとなります。

まとめ

少し長くなったので、簡単にまとめておきます。

一連の流れ

①急変があれば、家族へ連絡する。

②家族が到着し、患者と面会。死亡確認。

③着てほしい服があるか、お迎えの連絡をしたか確認。

④服があれば持ってきてもらうor買ってきてもらう。

⑤その間に保清準備。

⑥服がすぐ届いたら取りに行き、家族には控室で待っていてもらう。

⑦保清、ライン類抜去、荷物整理。

⑧家族に清拭をしてもらう準備をしてから、部屋に入ってもらう。

⑨清拭を一緒に行う。そのあとお迎えの時間をもう一度確認。

⑩病室か控室で、お迎えが来るまで待ってもらう。

⑪荷物や書類を返却する。

⑫葬儀社の人と一緒に退室する。

⑬記録やカルテ整理

家族に確認しておくこと

家族へ確認する点は以下のとおりです。

急変時の電話

  • 何で病院まで来るか(車、歩きなど)
  • 誰が来るか
  • 何分ぐらいで着くか
  • 焦らず安全に来院してほしいことを伝える

その後

  • 清拭は一緒に入るか
  • 最後に着てもらいたい服はあるか
  • 葬儀会社に連絡はしたか、何時に来るか

医師に確認すること

見取りの際は主治医に連絡するのか、当直医師に連絡でいいか(特に土日や夜勤時)

さいごに

これが大体の急変時から死亡退院の流れです。

病院によってや家族の来る時間によってもやり方が変わってくる場合があるので1例として紹介させてもらいました。

ちなみに、エンゼルケア研究会では

亡くなった人のセルフケアの代理のことをエンゼルケアであると考えられています。

人生最後のセルフケアを代理をさせていただく気持ちで行いましょう。

ありがとうございました。

よんくれ

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントを残す

目次