ICUリーダーの役割と注意点 〜所在を伝えないミスから学ぶ〜

ICUのリーダーの役割ってなに?
ICUリーダーを任され始めたので、リーダーについて知りたい!

ICUのリーダーって、責任重大だからこそ、このような悩みを持っている方は多いのではないでしょうか?

私もICUのリーダーを任されるようになり、リーダーの役割の重要性を実感しました。

その中で私が犯したミスは、
「リーダーの所在をメンバーに伝えず、ベッドサイドへ入ってしまったこと」 です。

リーダーの所在が分からないと、以下のリスクが生じます。

緊急事態が発生しても、すぐに対応できない

・経験の浅いメンバーが適切な判断を下せず、患者状態の悪化につながる

リーダーは 全体を把握し、メンバーが安全に動ける環境を整えること が重要です。

本記事では、私の体験をもとに ICUリーダーとしての考え方 を論文の知見も交えながら解説します!

参考文献 
【集中治療室における勤務帯リーダー看護師の臨床判断に基づく実践】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/41/0/41_41286/_pdf/-char/ja

この記事からわかること
・ICUリーダーの役割
・リーダー初心者さんがやりがちなミスとその対策について

この記事を読むことで、ICUリーダーの役割の基本を知ることができ、誰しもが経験するミスとその対策を知ることができます。

これからICUリーダーが始まる、ICUリーダーに不安がある方は必見です!

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目次

事例

ある日、ICUのリーダーとして勤務していました。

私は病棟全体を見回っている最中、
看護師Aが 「リハビリに付き添うため、ベッドサイドに入ります」 と報告してくれました。

私はリハビリの様子を外から観察し、安全に行えていると判断。

そこで、Aのもう一人の受け持ち患者を見に行きました。

すると、その患者は

  • SPO2の低下なし
  • しかし、ゴロゴロとした痰の音と苦しそうな表情

吸引しないと危険だ!

そう思い、すぐに自分で吸引を実施。

結果的に大量の痰を除去でき、患者の状態は改善しました。

しかし、ナースステーションに戻ると、
「看護師Bがリーダーを探していましたよ!」 と言われました。

急いでBのもとへ向かうと、緊急性の高い相談ではなかったものの、
「もし急変対応が必要な内容だったら…?」と振り返ると、冷や汗が出ました。

リーダーの定義と役割

まずは、ICUリーダーとは何かについて確認します。

【集中治療室における勤務帯リーダー看護師の臨床判断に基づく実践】より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/41/0/41_41286/_pdf/-char/ja

ICUリーダーとは

上記論文では、ICUリーダー(日勤帯)を以下のように定義しています。

「日勤帯のリーダーを担い、患者を直接担当せず、看護師や他職種と連携しながら、直接的・間接的に看護を提供する存在」

集中治療室における勤務帯リーダー看護師の臨床判断に基づく実践より

つまり、リーダーの役割は 「最前線で処置をすること」 ではなく、 「全体を見て、適切な対応を指示すること」 です。

ICUリーダーの役割

実際のICUリーダーが実践している内容として、大きく分けると8つあります。

① 患者情報獲得の必要性に応じた情報収集手段の見極めと駆使

② 治療・看護における不測の事態を想定した目配り

③ 患者の危機状態の迅速な判断に基づいた危機管理体制の立ち上げ

④ 患者の重症度と看護師の能力のバランスを評価して繰り返す看護チームの再編

⑤ 患者に生じる問題の変化に応じた医療チーム全体への対策の主導

⑥ 医療職間での共通認識の形成状況に応じたチームの協働の促進

⑦ 治療・看護の提供状況の適切性の判断に基づく資源の差配

⑧ 看護師の力量判断に基づく重症患者看護についての教育の提供

集中治療室における勤務帯リーダー看護師の臨床判断に基づく実践より

今回はこのすべてを解説はできないので、興味のある方は上記リンクより、自身で論文を確認してみてください!

この中で、今回の事例では 「不測の事態の目配り」③「危機管理の判断」④「チーム編成」 の視点が不足していました。

事例の振り返りと改善策

それぞれの視点での、振り返りと改善策を考えました。

治療・看護における不測の事態を想定した目配り

今回の事例では、看護師Aがリハビリに入る際、もう一人の患者の状態を事前に十分に確認していませんでした。

今は何もないかもしれないが、今後状態変化があったとき、どう対処するかを考えていればよかったなぁ、、、

改善策

・リハビリや処置でスタッフの手がふさがる前に、患者の情報を確認するクセをつける。

・受け持ちが別患者のベッドサイドに入るときは、残りの患者の危険を予測する。

患者の危機状態の迅速な判断に基づいた危機管理体制の立ち上げ

看護師Aがリハビリに入る間、もう一人の患者を誰が見るかが明確になっておらず、リーダーである私が直接処置を行う形になってしまいました。

もし、リーダーが入るのであれば、他のメンバーに自分がケアに入ることを伝えておけばよかったなぁ、、、

改善策

・事前に人手が必要なことが分かっている場合は、あらかじめ他のスタッフにフォローを依頼する。

・リーダーの所在を周囲に伝え、メンバーがすぐに連絡できるようにする。

・リーダーPHSを携帯しておき、何かあればPHSへ連絡してもらうようにする。

患者の重症度と看護師の能力のバランスを評価して繰り返す看護チームの再編

看護師Aがリハビリに集中する間、もう一人の患者のフォローを誰が行うかを考えず、結果的にリーダーの私が処置に入ってしまいました。

あらかじめ、メンバーの業務量を把握し、手が空いてる人に頼めばよかったなぁ、、、

改善策

・看護師Aがリハビリに集中できるよう、他の看護師に一時的に患者フォローを依頼する。

・リーダーが処置に入らなくて済むよう、チーム内の業務配分を適切に調整する。

・リハビリや処置が長時間にわたる場合、業務を分担し、負担が偏らないようにする

補足
リーダーは基本、最前線には立ちませんが、
急変など患者の安全を守るときは最前線に立ちましょう。

そのため、リーダーだから処置に入らない、というのは間違いなので注意してください!

まとめ

ICUリーダーは、処置に入るだけでなく、「病棟全体の状況を把握し、適切な指示を出すこと」 が求められます。

そのためには、
・不測の事態を想定し、リーダーとしての目配りを徹底する
・危機管理の体勢を整え、リーダーがいなくても適切に対応ができるよう環境を作る
・看護チームの役割分担を最適化し、リーダーが全体管理に専念できるようにする

あなたの職場では、リーダーがどのように行動していますか?

リーダー業務で困った経験や工夫があれば、ぜひコメントで共有してください!

あなたと一緒に、よりよいICUリーダーシップを考えていければいいなと思います!

ありがとうございました

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