急変時の観察項目と対応方法を新人看護師でもわかるように解説します!

急変時対応の自信がない
急変時はどのように動けばいいの?
急変時は何を観察すればいいの?

このように、急変時対応についてあなたは悩んでいませんか?

呼吸状態の悪化、心不全、脳卒中など、急変といえどその理由はさまざま。

「とりあえず血圧を測って、先生を呼んで、次は何を知ればいいの!?」

私もこのような感じでした、、、

しかし、勉強することであることに気が付きました!

それは

どんな急変だって、観察していくポイントや対処行動が決まっているということ

その理由は、急変時のアルゴリズムがあるから。

具体的には、迅速評価→一次評価→二次評価

このアルゴリズムを勉強してから、私は急変時に少しずつ動けるようになり、今ではICLS(急変時対応の資格)のインストラクターをしています!

この記事では、急変の観察項目や対応方法について簡単に解説します!

新人さんが理解できるように、できるだけ簡単に説明し難しい内容などは省略しています。
あくまでも、とりあえず急変時に動けるようになりたい人向けに書いているのでご了承ください!

今回は特に重要な、迅速評価と一次評価を解説します。

この記事を読むと分かること
・急変時の観察項目
・急変時の対応法

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目次

急変とは

患者さんの状態が急激に悪化して、命の危険が迫っている状態を急変といいます。

急変は突然起こるものではなく、約6~8時間前から何らかの異常が現れていると言われています。

そのため、状態悪化が始まる前に早期発見することが一番理想となります!

では、あなたが急変現場に立ち会ったときにどのように観察し、動けばいいのかについてみていきましょう。

迅速評価

まずは、患者さんのそばに行きます。

そして、患者さんに接した数秒で、全体的な状態を評価を行います。

これが迅速評価です。

簡単に言うと、
「パッと患者さんをみて、これは急変かもしれないって思うかどうか」

自分が感じる何かおかしい、はほとんど当たります。

この「何かおかしい=急変かもしれない」なのです。

具体的には、「視覚、聴覚、触覚、嗅覚」を使って呼吸循環意識に関して評価します。

呼吸、循環、意識を評価する理由は、死に結びつく危険な兆候だから。

これらをキラーシンプトムといい、呼吸の異常、末梢循環の異常、外観と意識の異常、の1つでも当てはまれば急変徴候と判断します。

呼吸、循環、意識のどれかが少しでもおかしいと思ったら、自信がなくても大丈夫。

すぐに救急カート、応援要請の依頼をしましょう!

自分が動けなくても、応援を呼べるだけで100点だと思います。

応援を呼んだ後、次に一次評価で具体的にどこが異常なのかを判断していきます!

一次評価

次はA(気道)B(呼吸)C(循環)D(神経)の順番に、どこが問題なのかを探します。

ABCDの順番で見ていく理由は、生命維持の仕組みを理解すれば分かります!

①A 鼻や口から酸素を取り込む
②B 肺でガス交換
③C 心臓ポンプによって酸素を全身へ送る
④D 脳に届き、呼吸運動や活動機能を維持

この流れのどこかが障害されることで命の危険となります。

そのため、ABCDの順番に優先順位が高いです。

ABCDの順番で評価していき、問題があればそこを解決させて次の観察へと進んでいきます!

次に観察項目と対応をまとめています。

A 気道

初めに気道について評価します。

  • 気道が開通しているか
  • 呼吸音、気道狭窄音

これらを確認します。

気道のトラブルは短時間で死に直結する危険があるので超緊急事態です。

気道が開通しているかを最優先で評価します。

方法は患者に声をかけ、発語があれば気道は開通していると判断できます。

発語がなければ、気道閉塞を疑いましょう。

気道閉塞の原因としては、物や痰が詰まる、気道浮腫、舌根沈下などがあります。

気道が開通していない場合の対応
→異物除去、挿管、エアウェイ挿入、吸引

次に気道を障害する音が無いか聴診にて確認しましょう。

気道を障害する音がある場合の対応
→いびき音(舌根沈下を考え)エアウェイ挿入か挿管
 分泌物貯留音だと吸引

このことから、気道に対する対応法は
挿管、吸引、エアウェイ挿入、異物除去

これらで対応できます。

B 呼吸

次は呼吸について評価します。

  • 呼吸数
  • 呼吸様式
  • 呼吸音
  • SPO2値

これらを見ていきましょう。

呼吸数は、急変時など体が危険な時は多くの酸素を取り込もうと多くなります。

1分間に25回以上呼吸をしていると、急変する可能性が高いです。

医師へ報告し、人工呼吸器が必要となる可能性も考えておきます。

呼吸様式は、努力様呼吸や起坐呼吸となっていないか確認します。

肩から呼吸をしている、陥没呼吸、鼻翼呼吸、死戦期呼吸は呼吸困難のサインです。

言葉は難しいですが、何か変な呼吸をしているなと思えばこのどれかに当てはまることがほどんど!

また、起坐呼吸(座った状態での呼吸)も急変のサインです。

心不全、呼吸不全の患者さんは換気スペースを増やすために座位を好む傾向があり、身の置き所がなく頻回に体勢を変えるのは呼吸が楽になる体勢を探しているから。

(仰臥位だと肺の後ろ側がベッドで潰れてうまく広げられないが、座ることで後ろの肺もつかえるため)

この場合は楽な体勢を取ってもらう、酸素を投与し、最悪人工呼吸器が必要となる可能性を考えておきましょう!

体内の酸素化を見るために、採血を取ることがあるので採血準備もしましょう。

呼吸数、呼吸様式が異常な場合の対応
→体勢を整える、酸素投与や量の調整人工呼吸器の準備採血

次に、呼吸音も確認します。

左右差がある場合などは気胸の可能性もあります。

気胸であればトロッカーを使用する準備が必要です。

痰の貯留音が聞こえたら、痰詰まりを起こしているかもしてません。

すぐに吸引しましょう!

呼吸音に異常がある場合の対応
→気胸を疑えばトロッカー挿入、痰詰まりなら吸引

他にSPO2値も測定します。

SPO2が90%以下は高度の低酸素状態であり、酸素療法の適応です。

ただし、末梢循環が悪かったり状態が重篤な場合はSPO2が感知しない場合もあります。
それはセンサー不良ではなく重症のサインです。

挿管する可能性を考えておきましょう!

SPO2値が低い場合の対応
→体勢を整える、酸素投与挿管

呼吸の異常があるときの対応方法は、
体勢を整える、酸素投与、吸引、挿管、人工呼吸器装着、トロッカー挿入、採血

これらで対応できます。

C 循環

次は、循環について評価します。

  • 脈拍
  • 皮膚冷感、湿潤、蒼白、網状チアノーゼ
  • 血圧

これらを確認しましょう!

まず、循環の異常はショックを疑います。

循環血液量減少性ショック
心原性ショック
心外閉塞・拘束性ショック
血液分布異常性ショック

これらは、それぞれ対応法がありますが今回は一般的な内容だけお伝えします。

まず、脈拍を確認しましょう。

頻脈はショックの代償機能のひとつ。

ショック→心拍出量減少→頻脈となり心拍出量を維持しようとします。

心拍出量を増やすために点滴で血液量を補う、薬剤で心臓をサポートしましょう!

ここで使用する薬剤は、中心静脈カテーテルからしか入れれないものもあります。(カテコラミン系)

そのため中心静脈カテーテルの準備もします。

頻脈時の対応
→末梢ライン確保、補液の投与、カテコラミン(NAD、DOB)投与、中心静脈カテーテル準備

(心不全患者には補液を入れにくいため、注意してください)

次に、末梢循環不全の徴候を確認します。

ショック状態だと、末梢血管をしめる(血管抵抗をあげる)ことで臓器の血流を守ろうとします。

そのため、皮膚冷感、湿潤、蒼白、網状チアノーゼが見られます。

だだし、血液分布異常性ショック(敗血症)は赤身のある皮膚や温感があるため注意!

末梢循環不全の対応
→基本は頻脈時の対応をとる、血液検査をする可能性があるため採血準備

他に、血圧の変動が無いか確認します。

血圧は、体の代償機能により最後まで下がることはありません。

そのため、血圧が下がっているときはかなりヤバいです。

血圧低下時の対応
→基本は頻脈時の対応をとる、ベッドをフラットにする、Aライン挿入

このことから、循環に異常があるときの対応は、
末梢ライン確保、補液、カテコラミン投与、採血、ベッドをフラットにする、中心静脈カテーテルやAライン挿入

これらで対応できます!

D 神経

さいごに神経の評価をおこないます。

  • JCS、GCSでレベルの評価
  • 瞳孔

これらを観察しましょう!

神経に異常があると、舌根沈下を生じることによる気道閉塞や、呼吸中枢に指令が出せなくなります

そのため、神経の異常があればAの気道トラブルとなる可能性を考慮しましょう!

また、神経の異常は脳の障害だけでなく様々な要因であることも多いので、その場で原因特定は難しい場合が多いです。

変化に気づくために、JCS,GCSでレベルの評価を日頃から行いましょう。

JCS30点以上、GCS8点以下は舌根沈下による気道閉塞リスクがあり、挿管適応です!

意識レベルが悪い場合の対応
→経時的に意識レベルの評価、挿管

また、瞳孔も観察します。

瞳孔不同があれば、頭蓋内圧病変の可能性があります。

左右差0.5㎜以上は頭蓋内圧亢進による脳ヘルニアであり緊急事態です!

脳卒中の可能性があるので、すぐにCTを取りに行きましょう。

出血や梗塞が見つかればOPとなるかもしれません。

瞳孔に異常がある場合の対応
→瞳孔不同・左右差があればCT撮影やOP

対光反射がある場合、頭蓋内圧亢進疾患ではなく代謝性疾患の可能性があります。

代謝性疾患であれば、採血をとってから血液浄化療法(CRRT)を使用するかもしれません。

その場合は、ブラットアクセス(透析用のカテーテル)の準備が必要です。

代謝性疾患を疑う場合の対応
→採血、ブラットアクセス準備、血液浄化療法の開始

また、中枢神経障害だとけいれんやてんかん発作が起こる可能性もあるので、抗けいれん薬を使用することがあります。

けいれんやてんかん発作がある場合の対応
→抗けいれん薬の投与

これらのことから、中枢神経異常の対応は、
CT撮影、採血、ブラットアクセス準備、CRRT開始、抗けいれん薬投与

これらで対応しましょう!

終わりに

新人さんや急変が少ない病棟で勤務していると、急変対応が難しいと感じて当然です。

経験して慣れるしかないと思います、、、

ですが、迅速評価でお伝えしたように「何かおかしい」と感じることはできますよね!

この「何かおかしい」と感じたらとりあえず応援を呼びましょう。

この応援を呼ぶことが一番重要です!!!

急変していなければ、勘違いでした。それで終わりですから勇気をもってください。

そして本当に急変していれば、ABCDの順番に問題がないか評価していく。

ABCDでそれぞれ対応方法は大体決まっているので、何回も読んで覚えてくださいね!

次の記事では、わたしが実際に体験した急変を例にどのように行動したか、どう考えたかについて記載するので、そちらも一緒にご覧いただくとより理解できます。

この記事では分かりやすくをモットーに作成したので、詳しい詳細やもっと具体的な対応方法もありますが、それはご自身で調べてみてください!

急変対応の方法を知って、患者の命を救えるかっこいい看護師を一緒にめざしましょう!

ありがとうございました。

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